経理にテレワークは可能なのか

2021年10月20日

こんにちは、美波です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、皆様の周囲の環境にも大小様々な変化があったことと思います。

この記事の初稿である令和3年10月10日現在は、緊急事態宣言等は解除されており、徐々に通常出勤が戻ってきているようですが、会社によってはテレワークの実施があったところも多いのではないでしょうか。

ところで、私が勤めている某準公務員の会社では、テレワークこそ数回実施したものの、経理である私がテレワークに充てられることはありませんでした。

ということで、経理職にテレワークが可能なのか、という点について、少し考えてみたいと思います。

そもそも、テレワークとは

経理とテレワークを考える前に、そもそもテレワークとは何なのかを考えたいと思います。

ウィキペディアによると、テレワークとは

情報通信技術(ICT、: Information and Communication Technology)を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態をいう。「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語在宅勤務

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「テレワーク」より

とあります。

時間はフレックスタイム制度、なんかがありますが、コロナ禍での挑戦は、場所の制約の解消、つまり、職場以外でも職場にいるのと遜色なく仕事ができるのか、という点でしょう。

経理は決算時にを除いて、比較的ニュートラルな仕事である、というのは前に触れました。

では、そのニュートラルな仕事は、出社せずとも、こなすことができるのでしょうか。

経理にテレワークは難しい?

と、見出しで結論めいたことを書いていますが、私見では経理にテレワークは難しいです。

特に、団体職員のような組織では、一日二日程度なら何とか「誤魔化せ」ても、それ以上となるとかなりの支障をきたします。

それは、団体職員としての経理の実態・仕事内容が大きく関わっています。

ここで特徴的な原因は、以下の二つです。

つまり、

・決裁行為などに、根強く「ハンコ文化」が残っている

・振込等の支払業務に、外部から安全にアクセスできない

という2点です。

団体職員とハンコ文化

団体職員は準公務員組織です。

また、公務員は、文書が書けてナンボの世界です。

つまり、公務員に準ずることの多い団体職員の属する組織にも、文書事務の重要性は強く根付いています。

そして、その文書の取り回しは、いまだに「ハンコ」でもって行われることがほとんどです。

昨今、政府により手続き業務の脱ハンコ化が推進されていますが、脱ハンコの代替案である電子決裁化には多大な費用とノウハウが必要です。

会社の規模によっては、導入するメリットが見出せない組織も多数あり、そこでのハンコの重要さは未だ健在です。

つまり、特に団体職員が属するような組織において、会社運営には「決裁」に「ハンコ」を押すことが必要不可欠であり、その点において長らく出社せずに業務を行う、というのは非常に困難なのです。

安全な経理事務の遂行とテレワーク

もう一つの原因が経理事務の実態です。

学生さんなどは、「会社ほどの大きな組織なら、支払業務なんて電子化されてるんじゃないの?」とお思いになるかもしれません。

ところがどっこい、ほとんどの会社では、未だに職員が通帳をもって、銀行へ走るような経理事務が日常的に行われています。

もちろん、会社としても、無駄を省くために電子振込等を導入したりしています。

しかし、会社は同時に、「いかにして経理職員の経理事務決定の権限を削ぐか」ということを考えます。

それは、経理の仕事を経理職員のみに任せてしまう、つまりブラックボックス化してしまうと、経理が勝手に会社の金を私的流用するような危険が発生するからです。

なので、通常、経理は、振込時には振込内容について会社の許可をもらうべく決裁を取り、銀行で現金支払いをするときなども出金票等への印鑑は所属長から別途押印してもらう、といったように、自分一人では出納業務を完結できないようになっています。

この点について、自身が信用されていない、などと嘆く必要は全くありません。むしろ私に言わせれば、常に自分が正しい経理事務を行うように自制し続けなければいけない、というプレッシャーを、会社や上司に預けることができるという点で、精神衛生上とても気が楽です。

(もちろん、会社の資金を不正に使用する気など毛頭ありませんが、犯罪を犯した人の大半が「魔が差した」と供述します。自制心が揺らぎそうになった時、第三者の目が監視している、という環境は、経理職員にとって必要な環境です。)

少々脱線しましたが、経理が業務を遂行するには、上司や会社の許可が必要です。そして、その許可は、ハンコによる決裁行為で得ることができます。さらに、その決裁を得たうえで、経理職員が自ら銀行へ赴くことが必要であることも多いのです。

これでは、経理職員がテレワークで業務を遂行する、というのは、なかなかに無理筋な気がします。

中小規模程度じゃ限界がある。大企業なら可能かも。

というわけで、経理はテレワークが可能なのか、という話でした。

システムとしてIT化が進んでいないであろう中小規模の会社にとって、経理の業務というのは意外と泥臭い仕事です。

銀行での出納業務、人の手による振り込み作業、etc……。

そして、特に団体職員が属するような公的な組織には、その業務について、第三者からの許可が常に必要なわけです。

この環境下では、テレワークはなかなか馴染みません。少なくとも経理の1人以上は出勤し、実働部隊として出納業務等を行う必要があるでしょう。

一方、大企業の場合は、決裁や出納業務の完全電子化が進んでいるところもあるでしょう。

そういったところでは、オンライン上で第三者による監視が働く環境も整備されているでしょうから、もしかしたら経理職のテレワークももう少し現実的なのかもしれません。

ですが、それはあくまで通常業務時の話。決算期等の繁忙期をテレワーク一本で乗り切るのは不可能でしょう。

少なくとも私は無理でした。毎日出社し、テレワーク中の部署に乗り込み、日々数字の提出を催促していました…。

IT化は、経理事務そのものではなく、他部署との折衝にこそ活かしてほしいものです……。

本日はここまでです。お読みいただきありがとうございました。