経理職と資格

2021年10月12日

こんにちは、美波です。

今回は、経理職がどのようにして地位向上を図るか、その具体的提案のひとつとしての「資格」を解説します。

経理は評価されにくい。

経理職はあまり評価される仕事ではありません。

それは、会社にとって、居て当たり前・ミスなくできて当たり前な仕事であるため、一度軌道に乗るとそれ以上の評価が困難だからです。

でも、担当者としてはそれなりの苦労を重ねて業務をこなしているわけで、経理職を担当した人なら、一度はその苦労を他の人にも味わってもらいたい、と思う人は少なくないでしょう。

そこで私は、「資格」を取ることをお勧めします。

「資格」を取り、自分の能力が世間一般でも充分に評価される、専門性を持った能力であることをアピールするのです。

経理と資格

経理の資格には実に様々な種類があります。

まず、非常に一般的なものとして、簿記検定試験があります。

簿記検定

こちらは公的資格で、社会人向けの主要なものとしては、日本商工会議所が主催する日商簿記検定試験と、全国経理教育協会が主催する全経簿記検定試験のふたつがあります。

特にこだわりがなければ、 より一般的な日商簿記検定試験 を受けるべきです。

受験母数・知名度が高い資格のほうが、より普遍的な評価になりやすいですからね。

この日商簿記検定試験(日商簿記)には、3級・2級・1級の3つの難易度があり、数字が小さくなるほど難易度が高くなります。(以下は日本商工会議所HPから引用です。)

直近の合格率158回(R3.6)157回(R3.2)156回(R2.11)
3級28.9%67.2%47.4%
2級24%8.6%18.2%
1級9.8%7.9%13.5%

出題範囲の改正やコロナ禍での中止等もあり、合格率が大きく上限していますが、個人的な感覚では、3級が50%強、2級が25%前後、1級が10%弱、といった難易度でしょうか。

問題構成は、3級が個人事業、2級が中小企業、1級が大企業向けの経理知識を問うもの、とされています。

履歴書に書けるのは2級以上、とされており、経理職を目指す方なら学生時代に取得する方も少なくないでしょう。

少しでも実務をこなしたことのある方なら、3級程度は独学で大丈夫です。

2級となると、商品売買のみならず、製品の製作に係る原価を計算する「原価計算」が出題されますので、そういった業種に縁のない方などは、専門のスクールを利用するのも手です。

1級は、簿記検定試験における最高難易度の級であり、国家資格である税理士試験・公認会計士試験の受験資格の一つともなっています。

解答方法にも「点を効率に獲得」するための戦略が求められますので、一度はスクールを利用することをお勧めします。

簿記検定は、全ての簿記技術の最もスタンダードな、「土台」ともいうべき部分です。

次にお伝えする、各業種ごとの検定試験と異なり、簿記に関する一般的な能力を保証する検定なので、例えば他業種への転職の際には効果を発揮するでしょう。

業種ごとの検定試験

簿記の技術は、各業種によってそれぞれに独自のルールを持っています。

例えば、営利を目的とした一般的な法人は、収益と費用から儲けを得ることを最優先しますが、団体職員などの非営利法人は、いかに収入を公平に配分・投下したか、といったことが問われます。

そのため、それを記録・分析する手段である簿記の技術も、異なった側面からの利用が必要となってくるわけで、結果的に業種ごとに様々なルールが存在します。

例を挙げると、医療法人なら「医療法人会計基準」、地方公務員なら「統一的な基準による地方公会計」、一般財団法人なら「公益法人会計基準」といった具合に、法人の目的に沿った会計基準(ルール)が存在するわけです。

そして、これらの特殊な会計基準にも、その理解を保証する検定が存在します。

公益法人会計基準なら「公益法人会計検定試験」、公益法人会計基準なら「公益法人会計検定試験」といった具合です。

これらの検定試験は、試験によって級や難易度もまちまちですが、その道のエキスパートであることを証明するものであるため、中には相当に難しいものもあります。

同じ職場で、自身の能力を証明するためには非常に有効ですし、同業種への転職の際には強力な武器となるでしょう。

ただし、一般受けはしにくい、ややマニアックな印象です。

国家資格

最後は泣く子も黙る国家資格、これまでの検定試験とは異なる、国家が定めた資格です。

経理職と関りが深い国家資格は、何といっても「公認会計士」「税理士」の2つではないでしょうか。

「公認会計士」は会社の作成した財務情報を検証し、その情報の作成手順・結果・表示の方法等が、適切であるかを専門的にチェックする役割があります。

一方「税理士」は、会社が支払うべき税金を計算・検証し、適切な納税をサポートする役割、といったところでしょうか。

いずれも、簿記という技術を土台として、監査や税金といったさらに専門的な分野への精通を必要とするため、経理職の地位を向上させる今回の目的からは大きく逸脱します。

しかしながら、資格を取り、それらの専門技術を身につけた際には、逆に会社をコンサルタントできる立場に立つことができるため、リターンは非常に大きいとも言えます。

また、税理士試験は科目合格制という試験制度を取っています。

試験の中には、一般企業は当然のこと、行政組織にも納税義務のある「消費税法」などの科目もあり、身につけ、自社の法人の節税を助けた際には、社内でも相当高く評価されることは間違いありません。

筆者の実体験

参考までに、筆者の実体験も書いておきます。

私は、大学卒業後、会計事務所に2年間勤務しました。

この時は日商簿記2級を取得し、就職にこぎつけています。

その後、現在の非営利法人に団体職員として就職しましたが、その際は「日商簿記2級を持っていること」と、「会計事務所で多様な業種をコンサルした経験から、経理事務に『クセ』が付いていないこと」の2つをアピールし、就職しました。

経理経験のある職員の途中入社は、即戦力の意味合いで歓迎されますが、同時に前職のクセを持ち込むことは非常に嫌がられます。

その意味で、スタンダードな簿記技術の体得を証明する簿記検定試験の受験は大いにアピールポイントになります。

そして、現職場にて、消費税を独学で勉強し、計算方法等を改善したことで500万円ほどの節税に成功しました。

この実績により、社内では一定の評価を受けることができましたし、異動が多い社風の中で唯一ずっと経理職を担わせていただいています。(逆に固定の経理職が私ひとりなので、かえってしんどい時もありますが…。)

まとめ

ということで、経理職は資格の取得によって、自身の評価を向上させることが可能です。

資格のオススメとしては、

1.まずは日商簿記2級を目指そう

2.業種のエキスパートになるなら、自社の業種の会計基準検定試験に合格しよう

3.さらに向上心があるなら、国家資格も受験してみよう。税理士試験は節税も学べる

といった感じになります。

国家資格には、中小企業診断士や社会保険労務士といった資格もあります。

いずれにしても、やや矛盾めいた話になりますが、会社に評価されたければ、会社の従業員の枠から出て、いち専門家として会社をコンサルする能力が求められます。

自身が会社をコンサルする能力があることを示す手段のひとつが各種検定試験・資格ということになりますので、経理職を極めたいと考えておられる方は是非参考にしてみてください。