団体職員として就職するにはどうすればいいか

2021年10月12日

こんにちは。美波です。

私は団体職員として10年近く勤務しています。

団体職員というと、周りからは安泰でいいね、などと言われることがあります。

団体職員なりの苦悶については以前の記事を見ていただければと思いますが、世間一般では人気の高い団体職員、就職するにはどのようにすればいいのでしょうか。

今回は私の経験を踏まえて、中途採用を目指す転職志望者向けに解説してみます。

団体職員って人気なの?

検索サイトで「団体職員」と検索すると、「求人」にまつわるキーワードが出てきます。

このことからも分かるように、団体職員への就職希望者は一定数いるようです。

先行きの不安な現在にあって、公務員同様、とまではいかなくとも、公務員並みの保証があるとされる団体職員は、やはり魅力なのだろうと思われます。

団体職員から見た採用事情

そこで、内部から見た採用の実情についてお話します。

私は経理担当で、実際に人事は触れていないのですが、同じ総務部に属しているということで、話は耳に入ってきます。

その上で、団体職員とされる法人の採用への姿勢・戦略の方向性を端的に述べますと、

・採用に対するノウハウが決定的に欠けている

の一言に尽きます。

かつての団体職員

公務員(主に行政)と団体職員と業務におけるの密接さについては以前の記事で述べたとおりです。

そして、行政が市民の個人情報やその他公的な情報を扱う以上、団体職員とされる法人にも同様の高い公共性が求められます。

また、役所仕事というのは、独自に進化を遂げた文書事務が非常に重要となります。

役所の文書は公文書として未来永劫残るわけですから、当然といえば当然ですし、文書主義・形式主義が良い悪いという話ではなく、そういうものなのです。

この世界は、民間の競争原理とは全く異なるスキルが要求されるため、民間でバリバリ成果を上げていた人たちが、そのまま即戦力になるとは限らないという側面があります。

かつての団体職員にとっての即戦力とは、役所のルールを順守し、競争原理に捕らわれない公共性の高い人物、だったわけです。

そのため、団体職員における年配の職員には、身内に公務員がいる人や、公務員を志しながら惜しくもなれなかった人たちがとても多い印象です。

現在の団体職員

しかしながら、団体職員とされる法人を取り巻く状況も徐々に変化しています。

昨今の不況、そして民間と公務員の格差是正の声を受けて、団体職員は行政からの独立が求められています。

つまり、以前は行政と一体になって、もっと言うなら行政の予算の一環として存在していたそれらの法人も、独自に財源を確保し、経営感覚を持って法人運営をすることが求められているのです。

これは 団体職員とされる法人 にとって非常にハードルが高いことです。

なにせ、公共的に、採算度外視で事業を行うことは継続しつつ、自法人の職員を守るだけの利益を生み出す必要があるわけで、見事に矛盾した状況を強いられています。

困った法人は、利益追求のエキスパートである民間から知識を学ぼうと躍起になっています。

つまり、人材を、公務員気質な人ではなく、より経営感覚を持った民間企業出身者に求めるようになっているのです。

団体職員の人材の探し方その①

そこで、ではそれらの法人はどうやって人材を探しているのか、という話になるわけですが、彼らにはそのスキルがありません。

それもそのはず、法人がより公益的な法人であるために、あえて開いてこなかった門戸を開いたわけですから、どうやっていいのか分からないのは当然です。

資格を前提とする専門性の高い法人などは、資格職の職能団体等に求人を出すでしょうが、例えば総務・人事・労務など、一般職と言われる職種への人材の確保が大きな課題になっています。

そこで法人がまず利用するのは、無料で利用できる求人媒体、つまりハローワークの利用です。

実際、ハローワークで求人を検索してみると、結構な確率で行政系の求人に出くわします。

ハローワークは一度求人情報を登録しておけば、その後は簡単に再度求人情報を掲載できるので、有料の求人媒体を利用し出しても、並行してハローワークを利用している法人は多いです。

団体職員の人材の探し方その②

また、ハローワークに求人がない場合でも、法人が職員を探していることはあります。

これらの情報をいち早く掴むには、やはりその法人の団体職員か、その法人を管轄する部署の公務員に情報収集するのが一番です。

もちろん、内部推薦があったから即採用、などという時代ではないので、紹介後は相応の試験を突破しなければいけないのですが、求人情報を出していなくても、このためだけに採用試験を実施してくれることも多々あります。

法人にとって経営感覚のある職員の採用は急務であるものの、独特の社風に民間出身者が馴染むかどうか、という心配は大きいため、法人実務の実情を知る内部職員等からの紹介は、懸念される公共性への適正が担保されるという点で、大きなアドバンテージになることでしょう。

まとめ

というわけで、団体職員になるためには

・まずはハローワークをチェック

・公務員やその法人の職員からも情報収集

の2点を意識すると、求人への遭遇率はグンと上がります。

求人をキャッチし、試験や面接に挑む際には、法人の沿革や公共性を意識しつつ、「なぜこの法人は民間出身の自分に採用試験を実施しているのか」「民間出身者の自分がこの法人に対して力になれることは何か」といった点を意識して回答することができれば、就職への大きなアピールになることと思います。

筆者の場合

因みに筆者の場合は、ハローワークで求人を見つけ、そのまま試験・面接を受けて採用という流れでした。

急な募集だったらしく、8月という非常に中途半端な時期に募集があったせいか、試験会場にいたのは私を入れて20人ほどでした。

試験会場で確認したところ、やはり法人内の知り合いに求人情報を聞いた、という受験生が多かったですね。

試験は公務員試験に似通った一般常識の問題と小論文、その後個別に面接を行い、最終的に私ともう一人の計2人が採用されたという流れでした。

面接では、法人に求められる「公共性」と「経営判断」の矛盾に触れつつ、民間で培った経営戦略的な発想を武器に、法人の社会貢献に寄与したい旨をアピールして、無事に内定をいただきました。

現在も業務に従事しながら、上記の矛盾の是正に向けて日々努力しています。

ということで、転職者が団体職員に就職するための方法について、私の体験を踏まえて解説させていただきました。

転職希望の皆さまが、希望の法人へ就職されることを願っています。