衛生管理者受験記録~動機編~
こんにちは、美波です。
記事を書いている途中でデータを紛失してしまい、一気にモチベーションが減退してしまいました。
各所で耳にしますが、定期的なバックアップは大切ですね。
ようやく傷も癒えたということで、ぼちぼち再開したいと思います。
今回は衛生管理者という資格について、記事を書きたいと思います。
衛生管理者の資格としての特徴や、私なりの取得の有用などを記載していきますので、よろしければ参考にしてみてください。
衛生管理者とは
衛生管理者とは、職場における労働者の健康障害を防止するために選任される国家資格者です。(厚生労働省HPより抜粋)
収益や社会的要求のために働くことは、労働者として必要なことですが、あまりに行き過ぎた労働は、労働者に健康被害等の様々な弊害をもたらし、ひいては健全な経済活動を阻害する原因となります。
そのような懸念から、法律は労働基準法をはじめとした様々な法律で労働者の保護を謳っているわけですが、衛生管理者という国家資格は、これらの労働者保護という文脈の中で、労働者の労働衛生環境面に特化して設置された資格ということになります。
常時50人以上の労働者がいる職場では、衛生管理者が必ず必要です。「必置」というところに、労働者保護の強い意志を感じますね。
なお、衛生管理者には「第一湯」と「第二種」があります。
「第一種」は有害業務を含む全ての事業場で衛生管理者になることができます。
一方、「第二種」は、有害業務を営む事業場では衛生管理者になることはできません。この点において「第一種衛生管理者」は、第二種に比べてより包括的な資格である、ということができます。
むろん、有害業務に対応することの証明として、「第一種衛生管理者」の国家試験においては、試験科目に「有害業務に係るもの」に関する出題が追加されています。
知ってましたか?職場に関するこんな決まりごと
さて、「労働者の衛生環境面を保護する」という点では、労働安全衛生法というものがあります。
ここでは、例えば労働者の休養について
「事業者は。常時50人以上または常時女性30人以上を労働者として使用する場合は、労働者が床することのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」という義務規定があります。
休養室とは、体調不良者が静かに横になれる場所のこと。
お勤めの会社に、そのような場所はありますか?もしなければ、実は労働安全衛生法違反になります。
他にも、パソコンでの単純入力作業の際には、連続して1時間を超えて作業をせず、10~15分の作業休止時間を設けるよう、ガイドラインが定められていたりします。
会計事務所勤務時代、朝から晩まで休みなしで入力させられていました(雑談禁止で、隣席の上司への質問も社内チャットで行う決まりでした。)が、あれも厳密にはガイドライン違反だったわけですね。。。
とまあ、このほかにも、労働者の労働環境を守るために、様々な法令やガイドラインが存在します。
これらを網羅的に理解し、職場環境を管理し、場合によっては使用者に改善を指示する、このような役割を担うのが、衛生管理者なのです。
衛生管理者になるためには
衛生管理者は前述のとおり国家資格です。
そのため、衛生管理者になるためには国家試験を受験する必要があるわけですが、受験に際しての受験資格が独特です。
受験資格は多岐にわたるため、詳細は試験実施団体である 公益財団法人 安全衛生技術試験協会のHP を参照していただきたいのですが、いずれの資格にも共通の要件として「数年以上、労働衛生の実務に従事したこと」が要求されます。
例えば大卒者だと1年以上、高卒者だと3年以上、その他学歴要件を満たさない者だと10年以上の実務経験が必要とされており、いずれの実務経験も「事業者の証明書」を添付する必要があります。
つまり、この衛生管理者という資格は、労働者50人以上の職場に必置、という義務規定からも分かるように、労働者がスキルアップのために目指す資格というよりは、むしろ、使用者が事業運営をしていくうえで必要とする資格、という側面が強い資格なのです。
受験にはこれらの実務経歴についての、使用者・事業主の証明が必要という、個人に付与される国家資格としては珍しい受験要件が課せられていることも、この資格が事業者視線の資格であることの一例でしょう。
なお、この「労働衛生の実務に従事したこと」と要件を満たすのは実はそれほど難しくありません。
安全衛生技術試験協会のHPにある事業者証明書には「労働衛生の実務」について13項目の具体例が列挙されているのですが、そのうちの「1.健康診断実施に必要な事項または結果の処理の業務」であれば、例えば経理として職員の健康診断に係る支払業務を担っていれば、要件を充足するでしょう。
また、「3.作業条件、施設等の衛生上の改善の業務」であれば、どんな職員であっても事業所やワークデスクの清掃などは日常的に行っているでしょうから、この点で要件を満たすことができるはずです。
ですので、社会人経験のある方なら、実質的には「労働衛生の実務」の要件は受験のハードルにはならないと考えられます。
私の衛生管理者の受験動機
ということで、衛生管理者について概要的なところを解説してきました。
かくいう私も、平成29年に第一種衛生管理者に合格し、以後勤務する法人で衛生管理者として従事しています。
受験に際しては、突如職場の所属長に呼び出されて「美波くん、次の人事異動で今いる衛生管理者が異動になるから、早急に衛生管理者資格を取得してきたまえ。」と、突然に指令を受けたのが理由です。
ちょうどその時、別の資格を勉強中で、その試験日が迫っていたため「は?今ですか?」という感想だったのですが、「大丈夫大丈夫、総務で仕事してれば簡単な試験だから!」と強制的に受験させられた経過があります。
で、私の職場は有害業務に係るものではなかったため、会社的には第二種衛生管理者で必要十分だったのですが、資格について調べるうちに「どうせなら第一種衛生管理者を取得しよう」と思い立ち、受験した次第です。
もちろん、有害業務を営む企業に転職する予定はなかったのですが
・経理という(社内では)つぶしの利かない業種を生業としてる以上、武器は一つでも多いほうがいい
という現職場で安定して経理職で働くために受験を決意するとともに
・経理という(社外では)職種を問わず戦える業種に就く以上、選択肢は増やしておくべきである
という仮に現職場を退職したときに、有害業務を営む業種の会社でも衛生管理者兼経理として再就職できるために第一種のほうを受験することを決心しました。
ちなみにどちらも受験料は6,800円で、いきなり第一種から受験してもOKですので、会社に不当に経費負担させることはありません。(笑)
衛生管理者の資格の有用性について
ここで、就職・転職における衛生管理者資格の有用性について、もう少し調べてみたいと思います。
ハローワークの求人検索にて「衛生管理者」というワードで検索したところ、1,836件がヒットしました(令和4年8月22日時点)。ちなみに絞り込みなしの求人数は1,216,535件なので、残念ながら衛生管理者を狙い撃ちした求人数というのは多くはないといえます。
また、ヒットした求人を見ていくと、その多くが「衛生管理者があれば尚良」となっており、純粋に衛生管理者を求めているわけではないことが分かります。
ですが、一方では、このヒットした1,836社については、衛生管理者の資格を選考上で加点要素として評価しているわけです。
企業が求職者にどのような素質を求めているかは一見して分かりにくいものですが、主に事業主のニーズで資格取得となることが多い衛生管理者については、就職活動においてプラスにこそなれ、絶対にマイナス評価にはならないという強みがあります。
また、企業が衛生管理者を求めているということは、その会社は常時50人以上を雇用する規模感の会社であるということ。
こと転職という状況に関しては、ある程度の規模感があり、安定的な法人経営状態が期待できる企業への就活にストライクで活きる資格、それが衛生管理者という資格の特徴と言えるでしょう。
なお、同じく「第一種衛生管理者」で検索したところ、工業系の会社のほか、医療法人の総務の求人も散見されました。
医療系の総務を狙う場合は、第一種衛生管理者の取得も視野に入れてみてもいいかもしれません。
事務系では珍しい、事業主目線の資格です。
ということで、衛生管理者の受験動機編でした。
現場では、作業内容の要請から「〇〇の資格を取ってね」と事業主に求められることも多いかと思います。
対して衛生管理者は、労働者の就業に関する管理が主な役割であることから、総務等の事務職が担い手になると想定されるにもかかわらず、取得の是非はあくまで事業主目線であるという珍しい資格となっています。
本記事では私が第一種衛生管理者の資格取得に至った経過を踏まえて、同じように資格取得を命じられた方々が前向きに試験に取り組めるよう、資格の概要や取得のメリットについて記述してみました。
次回の記事では、受験の際の勉強方法やおすすめのテキストなんかを紹介したいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
おまけ…衛生管理者についてもっと詳しく知りたい人向け
第2版 すぐに使える 衛生委員会の基本と実務
衛生管理者の実務についてより詳しく知りたい方は、こちらの書籍などが参考になると思います。
具体的な事例が多いですが、その分、衛生管理者としての果たすべき使命みたいなものは感じやすいかも。