結石に2か月間苦しんだ話
※本文中に結石の写真があります。洗浄済みのものですが、不快に感じる方はブラウザバックをお願いします。
突然ですが皆様、結石という病気をご存じでしょうか。シュウ酸などの成分が集積されて体内に小石のような塊が形成され、それが原因で非常に痛い思いをする病気です。
この結石の痛みというのが、とんでもなく痛いことで有名で、激痛の度合いではあらゆる病気の中で一・二を争う、と言われることもしばしば。
最もポピュラーな完治方法が、形成された小石を尿とともに排出すること。聞くだけならコミカルな病気ですが、経験者は揃って二度と味わいたくないと叫ぶ、「痛い病気」の代名詞です。
突然なぜ結石の話かと言いますと、実はここ2か月ほど、結石に苦しんでいました。そして、私はこの病気に罹患するのは初めてではありません。
そう、私はこの結石に過去一度苦しめられています。そしてこの度、不幸にも、あの激痛に再び苦しめられることとなったのです。
最初に罹患したときは、その元凶たる結石の排出を捕らえることができず、仇敵の姿を拝むことはできませんでした。しかし今回こそはこの激痛の原因を確保してやる、そして同じ苦しみに悩む諸兄姉の参考になるよう、経過を記録してやる、そう誓って闘病生活に乗り出してみたものの、道中は相変わらずの激痛に記録どころではなく、無事結石が排出されたこのタイミングで慌てて思い出しつつ記事を書いています。
想像を絶する、というよりは、過去に遭遇したことのない痛みに、過度に不安になる方もいらっしゃるかと思います。とにかくまずは泌尿器科を受診すべきですが、受診したとて耐えるべき激痛は変わりませんので、そんな折に不安になった際はこの記事を見て経過の指標にしていただければ幸いです。
一度目の激痛は背中。9月中旬。
最初に異変を感じたのは9月中旬の夜でした。
リビングで座椅子に持たれながらテレビを見ていた私の背中に、鋭い痛みが走りました。
「あれ?筋肉痛?もしかして座椅子に腰掛けてるうちに変にチカラをかけてしまっていた?」当初はそんなふうに考えていたのですが、姿勢を変えても痛みが治る様子もなく。
そのうちに痛みはどんどん鋭利になり、鼓動に合わせるかのように何度も背中を強く刺激します。
ガン!ガン!とハンマーを振り下ろすような勢いで、しかし痛みはドリルで体内から抉られるような鋭い痛みという、多くの人にとっては人生のどんな痛みとも違う、異質な激痛が背中を中心に駆け巡りました。
おそらく、結石が排出されるまでで瞬間風速が最も強烈なのがこの段階での背中の痛みです。
何をするにも手がつかず、脂汗が止まらず、顔色は目に見えて悪くなります。筋肉痛を信じて湿布薬を貼るも効き目はなく、諦めて床に着くも、痛みでほぼ寝ることができません。その上、内臓からの痛みのせいか、真夏というのに寒気が止まらず、出してきた毛布にうずくまって夜通し震えていた、というのが発病初日の状態でした。
夜が明けて出社する頃には痛みは多少マシになっていたため、通常通り出社しましたが、しばらくはひどい筋肉痛のような痛みが背中を中心に付き纏います。
一応、救いとしては、眠れないレベルの激痛は最初だけで、以降次の段階に進むまでは痛みつつもなんとか仕事ができる状態でした。ただ、それは私が二度目の罹患ということもあり、不本意にも同様の痛みに慣れていた(というより、経験済みというある種の達観があった)という面は捨てきれません。初めて罹患した皆様におかれては、無理せず泌尿器科を受診していただきたく思います。
二度目の激痛は腰。10月初旬
そんな背中の痛みも時間と共に和らいで、2週間もすれば、しばしの小健康状態が訪れます。
しかし、最初の激痛から約1ヶ月後、今度は腰に痛みが生じます。
この痛み、背中ほどの威力の痛みではありません。ですが、最初よりも長く痛みが続きます。最初の痛みが「……ッ!!」と言葉にならない痛みだとすれば、この腰の痛みは数十分おきに「あーー!痛いっ!!」と叫ばずには居られない痛み、とでも言えるでしょうか。
そしてこの痛みは定期的に訪れます。先の痛みが徐々に弱まっていくのに対して、この腰の痛みは数週間に渡って定期的に同程度の痛みをもたらします。
私の場合は決まって水曜日と週末に、歯を食いしばらざるを得ないような腰痛に悩まされました。
週末は実家で車を運転する必要があるのですが、その時に重なるように痛みが来るため、白目を剥きながらハンドルを握っていました。(危険なので真似をしないでください。)
痛む日と痛まない日を交互に交えつつ、約2週間はこの状態で苦しむことになります。
最後の激痛は下腹部。10月下旬
さて、2種類の痛みに悩まされつつ、いずれも時が過ぎるとしばしの小健康状態の期間があります。
腰の違和感も何となく薄れ、「知らないうちに排石した?」なんて淡い期待を抱くこともありました。しかしそんな機関も束の間、最後の激痛に襲われます。
その痛みはずばり下腹部、もっと言うなら泌尿器の末端付近の痛みです。
こちらはとにかく不快の一言。痛み始めはチクチクと、針で刺すような細かい痛みが下腹部に現れます。
痛みの箇所は定らず、腰から末端へとチラつくため、非常に不快です。
残尿感から排泄の回数も増えるほか、この辺りで血尿も確認されます。前の2つの痛みの段階でも血尿が出ることはあるのでしょうが、私の場合はこの第三段階の痛みのタイミングで最も明らかな血尿が出ました。
そして、チクチクとした痛みから一週間と少しが過ぎた頃に、この痛みが「排泄時の激痛」に変わります。
主に排泄終わりにりきむ時、尿道の奥に激痛が走り、この痛みが小一時間続きます。その痛みたるや、「もうトイレに行きたくない!」と思うほど。同時に残尿感もあるため、頻繁に排泄欲求はあるのですが、理性が痛みを恐れてトイレを拒否するという心身の乖離にも悩まされます。
個人的にはこの期間が最も堪えました。何せ排泄の度に激痛が来る訳ですから、私生活に強く影響が出ます。当たり前のことが当たり前に行えず、他の病気を疑ったりと精神的にもキツい時期でした。
そしてこの状態が3日続くと、今度は尿が充分に出なくなります。尿道の奥で明らかに何かが詰まっているような感覚と重い残尿感。一方で直近の排泄時の激痛の記憶から、力任せに排泄することへの恐怖もあって、恐る恐るトイレに向かうというしんどい日々が、私の場合は2日ほど続きました。
そして排出。11月頭
約1週間の下腹部や末端への痛み、違和感に耐えたある日の朝。ようやく元凶となる結石が排出されました。
満足に出ない尿に嫌気がさしながら、激痛がこないように恐る恐る排泄していたところ、尿道を何かが通り抜けた感触とともに、明らかに増加する排泄量。もしやと思って便器を覗き込むと、内側に小石のような固形物が付着していました。
運動場の砂利程度のごく小さな固形物なのに、あれだけの激痛をもたらしたのかと、ただただ呆れるばかり。また、一旦体外へ排出してしまえば、痛みも違和感も嘘のようになくなります。
とはいえ記憶としては排泄時の激痛の真新しい記憶があるため、しばらくはトイレへ行くのも、おっかなびっくりでしたが…。
ということで、約2ヶ月にも及ぶ闘病生活は、何とも呆気なく終結したのでした。
一応医学情報と擦り合わせ
私は三段階の痛みを体験しましたが、医学的に見ても、結石の通る経路には3つの関門があるそうです。
腎臓の出口から膀胱の入り口までの間に、尿管には3箇所の狭い場所があるらしく、そこが痛みの元となっているようです。
痛みが背中から腰、そして泌尿器へと下がっていったのは、そのまま結石が腎臓から膀胱へと降りていくルートと一致しているようですので、個人差はあれど、結石に関しては3段階の激痛を覚悟する必要があるようですね。
結石の排石までの経過については次のホームページを参考にさせていただきました。
藤田医科大学 医学部 腎泌尿器外科学講座(藤田医科大学HP)
やって良かったこと
結石に関しては、民間療法として様々なことが言われています。やれジャンプしろだの、最近ではジェットコースターに乗るのが効果的、なんて意見も聞いたりします。その中で私が試してみたのは次の3つです。
◎意識して多量の水を飲む
特に第3段階の痛みを感じてから、水分摂取には気をつけていました。第1・第2の痛みがそれぞれ3週間程度続いたのに、第3段階では1週間程度で排石まで至ったのは、この水分摂取が効果的だったのではないかと思います。
意識してみると、普段の自分は、水分補給に関しては人より少なかったのではないか、と若干反省するところです。闘病中は食事時の他に1日2リットルの水分摂取が必要だとか。水分不足は結石の原因にもなり得るとこのことで、今後は2リットルとはいかずとも、1リットル以上は毎日摂取したいなぁと思ったところです。
◯ジャンプする(縄跳びをする)
飛べば結石が体内を降りていく、という、最もよく聞く民間療法。そんなばかな、と思うのですが、初めて結石ができたとき、受診した医者では「水分を取って飛んでください」と真面目に言われたので、正当な治療法なのでしょう。
正直効果の程は実感できないのですが、どうせいずれの痛みも、動き回って紛らわせずには耐えられないわけで。それなら、のたうち回る代わりにその場で飛んで紛らわすか、という感じで飛んでました。職場で飛ぶたび、事情を知っている同僚に同情の眼差しを向けられたのは今ではいい思い出です(笑)
△コーヒーや紅茶、根のものの摂取を控える
これはどちらかと言えば予防ですね。シュウ酸はコーヒーやほうれん草などに多く含まれており、これを単体で過剰に摂取すると体内で結石になるそうです。カルシウムと合わせて食べれば、シュウ酸とカルシウムが結合して結石にならずに体外へ排出されるそうですが、その機会を作れない場合は摂取を控えるのが有効だとか。
何となく今ある結石が肥大化しそうで、闘病中はコーヒーなどは控えていました。オフィスで働く諸兄姉に警告します、コーヒーは水分ではありません!コーヒー飲むなら、牛乳を入れましょう、そして同じだけ水分も摂りましょう!
教訓と予防
ということで、私が患った結石に関する記録でした。出てしまうとケロッと治ってしまうため、今でこそ笑い話になるのですが、闘病中は本当に痛くて痛くて、結石と確信しつつも別の病気を疑ったりと精神的にも参りました。
特に、その排石までの期間については、目安を1ヶ月程度とする記事も多く、たっぷり2ヶ月苦しんだ自分などは、「痛みの期間が長すぎる?もしや難しい合併症なのでは…?」と不安になったものです。
ですので、もし闘病中の方で、長く排石しないことを不安に思われている方については、私のように2ヶ月かかる人もいるというところで少し安心していただければなぁと思います。もちろん、その前に信頼できる泌尿器科を受診して、きちんと診断を受けていただくことが大前提ですけどね。。
今後の予防としては、やはり水分補給をよりこまめに多量に行うことと、食べ合わせに気をつけること。
水分補給については、意識して多めに摂ることで、尿の濃度を下げて結石ができることを予防できるそうです。また、その際は、シュウ酸が含まれるコーヒーや紅茶ではなく、ほうじ茶や水(硬水が良いらしい。カルシウムが含まれるから、とか)が効果的だとか。
同じく食べ合わせについても、前述のとおり、ほうれん草などの根菜類はシュウ酸を多く含むそうなので、ジャコなどの小魚や鰹節を振りかけてカルシウムを同時に摂取し、シュウ酸単体の摂取を予防することができます。コーヒーや紅茶には牛乳を。アーモンドには小魚を。良く見る組み合わせが、実は理にかなった組み合わせだったんだなぁと関心してしまいます。
その他、ストレスを溜め込まないこと、こまめに運動することなど、いろいろ対処法はあるようですが、学業に仕事に忙しい中、そんなにwell-beingな生き方ができる人は稀でしょうから、とりあえずは毎日の飲食にひと工夫加えて、再発を予防したいと思います。
最近は高校生の罹患者も多いとか。老若男女問わず罹患する可能性のある病気なので、皆様もぜひ意識して予防に努めましょう。
今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。